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文化とは体で感じるもの

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往年の日本人歌手が海外公演をする。日系人相手の公演はいつも満席で、会場のそこかしこから涙をすする音が聞こえてくる。海外に長く住んでいる日本人が、昔の日本の歌謡曲を聴いて涙する。かつて日本に住んでいた頃、私の眼にはテレビに映るこの光景が不思議に見えた。

ところが気がついてみると、最近私が聴くのは青春時代の歌ばかり。私が小さい頃に抱いた不思議を今度は自分が辿っている。今、やっとあの日系人たちの気持ちが理解出来たような気がする。

流行歌は暮らしとともに生きている。わざわざ耳を傾けなくても、時代の象徴として街のいたるところで流れている。だから知らず知らずのうちに歌が体の中に染み込み、体の一部になってしまう。曲が流れると、過ぎ去った時代の匂いが、感覚が、色が蘇ってくる。外国生活が長いとはいえ、ここイタリアは自分が生まれ育った土地ではない。文化の違い、言葉の違いは、無意識のうちに不安感をつのらせていく。そんな時の逃げ道は、心のやすらぐ場所、" 昔の思い出 "に浸る・・・ことなのかもしれない。青春時代の曲を聴いて、記憶の世界に没頭することが束の間の幸せとなる。

イタリアの懐メロを耳にしても懐かしさを感じることはない。その時期にその曲とともに暮らしていないからだ。イタリア人同士が集まり、昔の流行歌を大声を張り上げて楽しく歌っているのを見ると、いつも疎外感を感じてしまう。

文化を知るということは、ただ単に本を読みあさることではない。文化は頭に入れるものではなく、体の中に染み込んでいくもの。その場所に住み、土地の人達とふれあいながら日々の暮らしを送る。その土地の営みに身を置いていると、文化は暮らしとともに少しずつその人の体に染み込んでいく。文化は語るものではなく、体で感じるものなのだと思う。
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コメント 1

mek

音楽はとくにその時の気持ちとシンクロしている部分がありますね。
海外生活して帰国すると、その不在期間のカラオケ曲が全く分からない経験があります。
ただ、今の日本に後世口ずさめる歌があるかは疑問ですが。
by mek (2012-01-30 09:18) 

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